【完】無愛想彼氏





「ってか、今助かったとしても困るの俺たちだよな」

「?」

「男女2人が暗い密室で長い時間いた、なんて事知られたら変な噂でもちきりだと思うけど」

「ぁ…」


俺は別に気にしないんだけど…どうせ、噂は噂だし。


けど、それは俺の場合だ。


「…お前、どうする?」

「ど、どうする…って?」

「ここの鍵ぶっ壊して停学になるか、変な噂流されるか」

「…どっちも勘弁。ってか、前者はあたしじゃなくて飯田でしょ」

「停学は大げさかもな。まぁ、弁償と反省文とか? 今から文考えとくか」

「壊す気満々っ」

「そろそろ外暗くなってきたし、その内この部屋真っ暗で岸本が我慢できなそうだし」

「…」

「資料室ってハンマーとかねぇかな」

「いや…ないと思うよ?」

「ぉ、いいの発見」


俺は奥の箱から玄翁(げんのう)を見つけた。

これで壊せるか。









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