【完】無愛想彼氏
五時になり、いちよう場所取りに向かうと、もう人がいっぱいで空を見上げるどころじゃなかった。
「蓮どうしよ…って、あれ?」
う、嘘?!
周りを見ると、蓮の姿は見当たらない。
は…はぐれた…??
「この年で迷子…」
あたしは、はぁとため息をついた。
とりあえず、人が混んでないところに、と思い人混みをかき分け抜け出した。
「あれ? 桃嘉ちゃん?」
「つ、翼くん…」
「蓮は?」
「ぁー…はぐれ、ちゃいまして…」
「ふはっ! まぁ…ちょうど良かったかも。
話、しよっか」
あたしは、コクンと頷いた。
翼くんはコッチ、と手招きをしてあたしを隣に座らせた。
ベンチの上にタオルを置いてくれてる…。
「気づいたかもだけど、俺、桃嘉ちゃんの事、知ってた」
「うん…」
「それと、
昨夜キスしたのは、俺だよ」
──えっ?…