【完】無愛想彼氏
「伶、戻ろ」
「ちょっ」
「…盗み聞き、蓮はこういうの好まない」
「…」
「ごめんね」
あたし、
バカみたいに…彼が好きだから。
好きだから、
彼に…ほんの少しでも、嫌われたくない。
あたしと伶は、教室に戻った。
戻る間、一度も、会話しなかった。
教室に行けば、堤さんのことで話はもちきり。
「桃嘉ぁ」
「大丈夫っ!
別に、彼女がいるからって告白しちゃいけないわけじゃないし!」
そうだ…
彼女がいるからって、
告白しちゃいけない、なんて決まりはない。
当たり前だけど、
好きになってはいけない、なんて決まりもない。
あぁ…バカだ、あたし。
今になって…
不安で押しつぶされそう。