【完】無愛想彼氏




「堤さん! ごめん、あたし体操服借りっ放しだったよね!!」

「え…」

「ほんっとごめん!!

あたしさ、体操服持って帰るの忘れちゃってて、二枚あるんだ!

だから、これ着て? あたし、置きっぱの着るから!」

「え、でも…」

「いいのいいの! あたしが悪いんだし!

早くここでないと、男子も迷惑だしさっ!」


あたしは強引に堤さんに体操服を渡し、教室を出た。


「桃嘉ぁ、遅いー」

「ごめん、怜!」


あたしは、怜の方に駆け寄った。

「いいの」

「え?」

「体操服」

「あぁ、うん」

「飯田の方が、効果あったと思うけど」

「そうかなぁー…」

「まぁ、半々だけどね」

「…それにさ、ちょっと…あたしの我が侭もあるんだ」

蓮が…

他の女の子を助けるところなんて、見たくなかった。



< 275 / 329 >

この作品をシェア

pagetop