【完】無愛想彼氏
「堤さん! ごめん、あたし体操服借りっ放しだったよね!!」
「え…」
「ほんっとごめん!!
あたしさ、体操服持って帰るの忘れちゃってて、二枚あるんだ!
だから、これ着て? あたし、置きっぱの着るから!」
「え、でも…」
「いいのいいの! あたしが悪いんだし!
早くここでないと、男子も迷惑だしさっ!」
あたしは強引に堤さんに体操服を渡し、教室を出た。
「桃嘉ぁ、遅いー」
「ごめん、怜!」
あたしは、怜の方に駆け寄った。
「いいの」
「え?」
「体操服」
「あぁ、うん」
「飯田の方が、効果あったと思うけど」
「そうかなぁー…」
「まぁ、半々だけどね」
「…それにさ、ちょっと…あたしの我が侭もあるんだ」
蓮が…
他の女の子を助けるところなんて、見たくなかった。