【完】無愛想彼氏
昼休みも終わり、俺は体育館へと向かう。
その途中、後から誰かに話しかけられた。
「い、いいだっ!」
「…堤」
「あ、あの…審判の説明、担任が…」
あぁ、そういえば聞いてねぇや。
「桃嘉、お前この後審判だろ?
聞いた?」
「ぁ、うん…」
「そっか。んじゃ、俺行ってくるから、先行ってて」
「うん…」
少し寂しそうな顔をして、向かおうとする桃嘉の手首をグッと引っ張り、
堤がいることも忘れて、俺はチュッと触れるだけのキスをした。
案の定、顔を真っ赤にする桃嘉。
「んじゃ」
そう言って、俺は堤と職員室へと向かった。
「…ひ、どい」
「は?」
「あたしの…キモチ、知ってるくせに…」
「…俺の気持ち知ってるくせに、あのタイミングで話しかける方も酷いよね」
「…っ」
「邪魔したいんなら、してもいいけどさ。
それでも、俺の桃嘉への態度は変えないし、
キモチも動かない」