【完】無愛想彼氏




昼休みも終わり、俺は体育館へと向かう。

その途中、後から誰かに話しかけられた。

「い、いいだっ!」

「…堤」

「あ、あの…審判の説明、担任が…」

あぁ、そういえば聞いてねぇや。

「桃嘉、お前この後審判だろ?

聞いた?」

「ぁ、うん…」

「そっか。んじゃ、俺行ってくるから、先行ってて」

「うん…」

少し寂しそうな顔をして、向かおうとする桃嘉の手首をグッと引っ張り、

堤がいることも忘れて、俺はチュッと触れるだけのキスをした。


案の定、顔を真っ赤にする桃嘉。

「んじゃ」

そう言って、俺は堤と職員室へと向かった。


「…ひ、どい」

「は?」

「あたしの…キモチ、知ってるくせに…」

「…俺の気持ち知ってるくせに、あのタイミングで話しかける方も酷いよね」

「…っ」

「邪魔したいんなら、してもいいけどさ。

それでも、俺の桃嘉への態度は変えないし、

キモチも動かない」





< 286 / 329 >

この作品をシェア

pagetop