【完】無愛想彼氏
「おい、桃嘉! おい!」
蓮は、グイッとあたしの手を引っ張って、足を止めた。
あたしは、その勢いでギュッと蓮の胸に飛び込んだ。
「桃嘉? なんかあった?」
あたしは精一杯首を横に振る。
「…ったく。んな顔じゃ、説得力の欠片もねーぞ」
「…」
今のあたしの顔、ひどいもんだ。
溢れそうな涙を必死に堪えて、怜に酷い態度とって明日どんな顔をすれば良いのかわからなくて…
もう、ぐちゃぐちゃ。
「とりあえず…俺ん家でどうっすか」
あたしは小さくコクンと頷いた。
あたしは蓮の背中にしがみつきながら、歩く。
途中、何度も蓮があたしの手を強く優しく握ってくれた。