【完】無愛想彼氏
「ふぅん…。あたしに紹介してくれる?」
「いいけど…」
「やったあ!! 今すぐ!! 今すぐ会いたい!!」
「ぁーはいはい…」
ナツは俺の手を握って上機嫌で歩く。
俺は、握られた手を無理矢理離した。
「…蓮くん…?」
「ごめんな、ナツ。俺、彼女いるから。好きな奴以外と手繋ぐ気ないんだ」
「…あたしの事、嫌い?」
「そういう意味じゃない」
「…そっか。昔と違うもんね。わかった!」
ナツの笑顔に安心した俺は、自分の教室に戻った。
「ぁ、れ…」
桃嘉は俺の名前を言いかけて、鞄をドサッと床に落とした。
「あの子?」
「そっ」
「…ふーん」
ナツは桃嘉に近づいて手を差し出している。