君を魅たい愛したい
女達が囲ってるため私の位置からは見えないが
足音でこっちに近付いてきてるってことが分かった。
しかも、なんだか女達はそわそわしてるというか焦っているというか
とにかく様子がおかしかった。
「湊《そう》君っ、聞いてこの女がね――」
「あーだいたいのことは聞いたよ。君ら声大きいんだもん。せっかくあそこで気分よく寝てたのになー」
湊と呼ばれた男はそう言って一本の木を指した。
なるほど、ね。
あの木の下で横になってたところ私達の声で起きてしまって私達の会話も聞いてたわけか。
ついてない。
また噂の力が増しちゃうよ…
「でも、暴力はいけないよ?」
いい人ぶらないでよ。
本心じゃそんなこと思ってないくせに。
どうせ、この男も見返りなんか求めてるに決まってる。