君を魅たい愛したい
皆、欲望にまみれている。
噂を否定しないのは、
もう疲れただけ。
否定しても、大半の人は信じてくれない。
なら…
否定しなくてもいいと思った。
乗らなかった誘いにも、ほんの少しだけなら乗ろうと思った。
それを楽しいとか、後を絶たない男達に優越感に浸るとか
あるわけない。
つまらない。
私は…
梨磨の前でしか素でいられなくなってしまった。
ゆったりとした足取りで私は男に近付く。
そして、その間5センチ程度のところで足を止め
「何をお望みですか?」
キスなら、触れるぐらいしたことある。
というよりも、いつもそれで相手を欺けている。
キスぐらいしとけば少しは黙るだろうって。
キス一つたいしたことない。
私の価値なんて、所詮そんなもん。
噂っていうのはほんとに凄い、ある意味感心してしまう。
当の本人を差し置いてあっというまに尾ひれをつけて飛んでいってしまう。
もう、この学校にも中学時代の私を知っている人が何人もいると思うと
恐らく明日には私のことを知らないなんて言う人はいないんじゃないだろうか。