先生の背中 追いかけて
ビックリして体がビクっと反応した。


「脅かして悪かったな!!俺はお前の隣のクラス担当の横山だ。科目は数学で、野球部の顧問だ」


「何で先生はあたしのこと知ってるんですか?あたしまだ先生の授業うけたことないのに…」


「そうだったな!!俺が授業したときはお前まだ休んでいたもんな…」


「うん…………休んでました…………」


「そんな落ち込むな!!ってかそんなに辛いのか?学校まだ慣れないのか?」


「……………………」


「あとお前、野球してたんだろ?俺でも知ってるぐらいだぞ。どうしてやらないんだ?そこで見るより楽しいぞ(^∀^)」


そう言って先生はあたしの左腕をグイっと掴み外へ連れ出そうとした。


「左肩……………」


「ん?左肩がどうした?」


「あたし、この前の事故で左肩があがらなくなっちゃったんです。左利きだから…もう遠投できないんです。だから…野球はやりたいんですけど……」


自然に涙が頬をツーっとつたって下へ落ちた。



先生は驚いた顔をしてずっと謝ってきた。


「倉持ごめんな。先生、無神経だった。でもそんなに野球が好きなんだろ?やめたくないんだろ?じゃあ、マネージャーしてみないか?」


「えっ?あたしがっ…ですか…?」


「今マネージャーがいないんだ。お前みたいな経験豊富なマネージャーは本当に助かるんだが」


「でも……あたしは……マネージャーより野球がしたいの…」


「だったら!!お前の左肩に俺がなってやる。俺の体を使って野球をやってるって思えばいい。お前が指示したら俺はその通りに動く。これでどうだ?」


先生は泣きっぱなしのあたしを優しく抱き締めながらそう言った。


優しさが凄い伝わってきて逆に涙が止まらなくなってしまった。


「本当に、先生の体借りてもいいの?あたしスパルタだよ?(笑)」


「まだ若いからな!!でもお手柔らかに(笑)じゃあ…今から一緒にグランド行くか?」


「はい!!マネージャーさせてください」


この日、晴れてあたしは野球部マネージャーに任命された。
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