無償の想い

20 疑惑

夕方になり理子さんへそろそろ会社を出れるとメールする。

すぐに返信が着て理子さんももうすぐ終わりそうとの事。

待ち合わせ場所を決め、その近くまで歩いていく。

時間があったので本屋へ立ち寄った。

何気なくファッション誌や週刊誌の表紙を見てみたが、世間はクリスマス特集一色だ。

○○のお店はカップルにおススメ!とかクリスマスデートのスタイルはこれで決まり!とか。

まあ相手の居ない私には縁のない話・・・

昔から文庫本とかを読むのが好きだった私だけど、会社に入ってからは一度も手に取った事は無かった。

久しぶりに文庫本のコーナーを物色し、面白そうな一冊の本を手にレジへ向かう。

買った本にカバーをかけてもらう間、最初に気になったファッション誌を立ち読みする。

ページを開けばクリスマスの文字。

その次にはプレゼントとかホテルとかの名前がいっぱい。

(クリスマスなんて好きな人と一緒に居れればそれで良いと思うんだけどな)なんて考えながら出来上がった本を鞄に入れて店を出る。

待ち合わせ場所に到着し、スケジュール帳を開いて予定の確認をする。

これと言って予定など無いのだが、待っている間の時間を使って半年前の頃を思い出していた。

一つ一つの出来事を思い出しながら考える。

みんなと出会った事。

堂島さんに気持ちを持った事。

それから・・・


それから、これから私はどうしたいのかという事。

正直、自分の気持ちが最近浮ついてるって感じる。

その原因は何なのか。

今は分からない。
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