無償の想い
「何でお前のかき揚げは3枚なんじゃ〜!って」

だんだん話がヒートアップしてきて声の大きさが分かっていない武。

周りのお客さんも目を白黒させながら武を見ている。

何とか武を落ち着かせ、話の続きを聞く。

「悪い悪い。熱くなりすぎだな」

「熱くなるのは焼肉だけで十分だから」

「上手い事言うね。でっ、どこまで話したっけ?」

「『3枚なんじゃ〜』ってとこ」

「そうかそうか。でな、その理由を聞いたんだよ。俺はアイツの答えにビックリしたね」

「何?」

「『俺にはいつも3枚入ってるよ』って。サラッと言いやがった」

「普通は3枚も入らないよね?」

「だろ?そしたらアイツ、俺にかき揚げを1枚くれたの。優しいだろ?」

「え?うん。まぁ…」

「まあ?ったく、お前にはアイツの優しさの半分も分かっちゃいない!」

もう完全に酔っぱらっている武。

その時だった。
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