無償の想い
と同時に携帯を武に取り上げられる。

夢の時間は短いって本当だ。

「あーもしもし武だけど、今どこにいるんだ?もう会社終わってるだろ?」

せっかくの楽しい時間をあっさりと奪われた私…。

「え?結構近くにいるじゃん。もう晩飯食ったか?」

(8時過ぎか…もう食べちゃってるだろうな…)

「俺?今、会社の後輩と○○駅近くの○○って店にいるよ」

(ま、まさか呼んじゃう気なの?お化粧直さなきゃ)

「そんな事気にするなって!」

(あ、私がいるからかな?でも大丈夫!私は気にしません!)

必死で「私なら平気ですよ〜」と無言で武に伝える。

しかし

「そっか…じゃ、また電話するよー」

(ああ、やっぱり私がいるからだ…。もう嫌。帰りたい)

「おう、じゃあねー」

(来ないっぽいな…残念…)

携帯を置いて武が言う。

「今から来るってよ」

「あぁそう……って来るの?」

「うん」

「今の会話でどうなったら来る流れになるわけ?」

「え?何か変だった?普通じゃん?」

「今のは明らかに私がいるから遠慮しますって感じの流れだったよ!」

「あれ?来ちゃダメか?だったら…」

「ちょ…全然大丈夫だから!何の問題も無し!」
< 14 / 122 >

この作品をシェア

pagetop