無償の想い
彼女さんも来るなんて予想していなかったから、何を話したらいいのか分からない。

武は堂島さんと何やら話をしている。

どうしようかと悩んでいると宮下さんが話しかけてきた。

「今日は突然すみません。お邪魔じゃなかったですか?」

「いえいえ、とんでもないです」

本来ならここで何か繋がるような事を言うのだろうが、言葉が出てこなかった。

「立ちっぱなしも変だから座ろうか」と武。

その言葉に皆一斉に座った。

私の横に武。

正面に宮下さん。宮下さんの横に堂島さんが座る。

「二人とも何飲む?」と武が聞く。

「じゃあ二人ともビールで」と宮下さんが言う。

「おいおい大丈夫か?」と堂島さん。

「平気だよ!」と笑顔で返す宮下さん。

「じゃあ俺も!」と武もはしゃぐ。

店員さんに三人の注文を伝え、私もウーロン茶を追加する。

「あれ?お酒飲んでないの?」

と堂島さんが話しかけてきた。

「は、はい。私、お酒弱いんです」

と小声で返す。

すると武が

「ちょ、何で小声なの?」と笑う。

「さっき喋った時はハキハキしてたのにね」

と堂島さんも笑いながら言う。

「いや…あの…」
< 17 / 122 >

この作品をシェア

pagetop