無償の想い
と宮下さんの方を見ながら武も笑う。

「もう!みんな大学の頃から変わらないんだから!」

と頬を膨らませて怒ったフリをする宮下さん。

「宮下さんと堂島さんはどこで出会ったんですか?」

と聞いてみた。

「俺と理子が出会ったのは…あ、たこ焼きか」堂島さん。

「たこ焼き…ですか?」と私。

「うん。学園祭の時に俺のたこ焼き屋に来てくれたのがきっかけ」と堂島さん。

堂島さんが続ける。

「あの時は理子と付き合うなんて夢にも思ってなかった。だって最初の出会いは『私のたこ焼きにタコが入ってない』って文句を言いに来たんだよな」

「そうだっけ?」と理子はとぼけた振りをした。

「来た時にはもうたこ焼きは完売した後でさ、『ないならもういいです』って怒って帰ろうとしていた理子に今度このお詫びをするからさ」

って言ったんだよ。

「でも、お詫びされたのは学食のかき揚げそばだからね」

と理子が言った。

「コイツ、未だにお詫びが学食だったって根に持ってるんだぞ」

と充が笑う。

そんな昔話でその場は盛り上がっていった。
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