無償の想い
バケツを取りに行った時に理子さんがデジカメを持ってきた。

楽しい夏の思い出を何枚も撮っていく。

｢麻美ちゃん、一緒に撮ろうか｣と堂島さんが言ってくれた。

恥ずかしかったけど理子さんが｢撮ってあげるよ！並んで！｣と言ってくれたので遠慮しつつも撮ってもらった。

｢はい、笑ってー｣と言われて撮った写真の中の私はちゃんと笑えてたかな。

｢じゃあ次はタケチャンね｣と言われ武とも並んで撮る。

｢ほら、お前らも撮らないと｣と私と理子さんも一緒に撮ってもらった。

最後に四人一緒に撮りたかったので近くを散歩していたおじさんに撮ってもらう。

花火も終わり、理子さんの家までみんなで歩く。

みんな様々な話をしていたけどなぜか私の気分は落ちていた。

空気を壊さないように笑顔を作ってはいたが、心は切なくなるばかり。

理子さんを見送り、三人で駅の方まで歩いていく。

カランカランと下駄の音が響いていた。

その時は三人とも黙っていた。

無言のまま歩いていた時、堂島さんが口を開いた。

｢今日は楽しかったね｣

堂島さんの話し方にはすごく優しさが溢れていた。
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