無償の想い

｢ああ、久々に遊んだ！って感じがしたな！｣と武。

｢麻美ちゃんも、ありがとうね｣と堂島さん。

｢そんな、お礼を言われるような事なんて何もしてませんよ！｣と私。

笑顔でうなづきながら堂島さんが話し出した。

｢…実はね、ずーっと悩んでる事があったんだ｣

｢悩んでた事？｣私が聞き返す。

｢ああ、俺はこのまま結婚しても大丈夫かなーって。それで武にも色々相談に乗ってもらったりしてた｣

黙って話を聞く武。

｢でもね、今日こうやって理子と祭りに行ってたこ焼きとか食べたじゃん？あの時忘れていた大切な何かを思い出した気がした｣

私も黙って話を聞く。

｢前に武に相談した時は『俺の生い立ちが〜』なんて事を話したと思うんだ｣

｢ああ、そうだな｣と武。

｢実はさ、悩みの中心はそこじゃなかったんだよ。単純に俺は理子とこの先上手くやっていけるか自信が無かったんだ｣

武も私も堂島さんの言葉に耳を傾ける。

｢今日こうやって理子の笑顔とか見てたらさ、なんか俺の悩みなんてどっかへ飛んで行っちゃったよ。ありがとうね。二人とも｣

｢そんな…何もしてないですよ。私｣