無償の想い
堂島さんと理子さんは同じ事を考えていた。

言葉は交わさなくても、心は繋がってる。

「メール?」と堂島さん。

「理子さんからです。今日はありがとうって」と答える。

「そっかー」と言って夜空を見上げる堂島さん。

「今日は麻美が大活躍だったな!」と武。

「武もいい仕事してたよ!」

と泣きそうな気持ちを振り払うように大声で返す私。

電車に乗り、私の降りる駅が近づいてきた。

「家の近くまで送るよ」

と言われたが、泣くのを我慢できそうに無かったので

「大丈夫です。すぐそこなんで」と嘘をついた。

「今日はありがとうございました。おやすみなさい」

と言い二人と別れ、泣きながら家へと帰った。

なんで泣いているのかよく分からなかった。

拭いても、拭いても涙が止まらない。

心が受け入れてくれない。

受け入れなくちゃと分かっていても受け入れられない。

声を出して泣いたのなんて大人になってから初めてだった。

どうにもならない現実。

目を閉じると思い出すあの笑顔。

その日はそのまま眠ってしまった。

「朝になれば大丈夫」と思いながら…
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