無償の想い
その頃、武と充は今日の事について話をしていた。

「久々に遊んだって感じがしたな」と武。

「ああ、なんか背負ってた荷物が軽くなった気がしたよ」と充。

「実は今日祭りに行こうって言い出したのは麻美なんだよ」

「え?麻美ちゃんが?」

「ああ。実はオマエが悩んでる事、麻美に話したんだ。俺一人じゃいい考えが浮かばなくてさ」

「それで?」

「あいつなりに色々考えてくれたみたいでさ。それで今日の祭りにみんなで行こうって」

「そうだったんだ…いい子だね。あの子」

「ああ。麻美はすごく他人の事を考える奴なんだよ。自分の事よりも他人の事」

「そっかー麻美ちゃんに今度お礼しないとな」

「充にお礼されたら喜ぶんじゃねえかな?アイツ」

「ん?どういう事?」

「いや、何でもない。それよりも理子ちゃん喜んでたな」

「そうだなー。あんなに笑ってる理子を見たのは久しぶりだ」

「オマエが悩み込んでから理子ちゃん大変そうだったしな」

「本当、理子には苦労かけっぱなしだな。しっかりしないとな。俺も」

「頼むぜ〜!理子ちゃん泣かすなよ〜!」
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