無償の想い
堂島さんが会計を済ませてくれたのだが、全部奢ってもらうのは悪いと思い
「私も払いますよ」と言ったのだが
「今日は俺が誘ったんだから気にしないで」と堂島さん。
「えーそれじゃ悪いですから少しだけでも払いますよ」
「本当に良いって。ほら!お財布しまって!」
「そうですか・・じゃあすみません。ご馳走様でした」
「いいえこちらこそ」
やっぱり大人の男性はこういう会計をスマートにやり過ごす。
よくレジ前でごちゃごちゃやる人が居るけど私はアレが大嫌い。
なんかあんな所で長々するのは変だと思うし。
店の外に出ると秋とはいえ少し冷えた空気が頬を伝った。
「もう終電も微妙な時間だし、危ないからタクシー拾うよ。待ってて」
そういってタクシーを捕まえ、一緒に乗り込む。
「こんなに遅くまで付き合せちゃってゴメンネ」
「いえ、私も堂島さんとたくさんお話が出来て楽しかったです」
「俺もすごく楽しかったよ」
そう言った後、なぜか堂島さんは窓の外を見たまま黙ってしまった。
私も何を話して良いか分からずただ黙っていた。
時折、堂島さんの顔を横目で見るのだが1秒と見てられないので表情までは分からない。
私の家が近づいてきた頃、堂島さんが口を開いた。
「ねえ、麻美ちゃん」
なんか雰囲気がさっきまでと違う。
「なんですか?」
今まで外を見ていた堂島さんが私を見た。
何を言われるんだろう?
不安と期待が交じり合ってきた。
「いろいろありがとね」
そう言ってまた外を向く堂島さん。
どことなく恥ずかしそうな横顔をしている。
『ありがとう』と言われたけれど、特別な事をしているわけじゃなかったので何が何だかさっぱりだった。
けれども何も返さないのは変なので
「こちらこそ」
と更に意味不明な返事をする私。
この「ありがとね」の意味を知るのはもうちょっと先の事だった。
「私も払いますよ」と言ったのだが
「今日は俺が誘ったんだから気にしないで」と堂島さん。
「えーそれじゃ悪いですから少しだけでも払いますよ」
「本当に良いって。ほら!お財布しまって!」
「そうですか・・じゃあすみません。ご馳走様でした」
「いいえこちらこそ」
やっぱり大人の男性はこういう会計をスマートにやり過ごす。
よくレジ前でごちゃごちゃやる人が居るけど私はアレが大嫌い。
なんかあんな所で長々するのは変だと思うし。
店の外に出ると秋とはいえ少し冷えた空気が頬を伝った。
「もう終電も微妙な時間だし、危ないからタクシー拾うよ。待ってて」
そういってタクシーを捕まえ、一緒に乗り込む。
「こんなに遅くまで付き合せちゃってゴメンネ」
「いえ、私も堂島さんとたくさんお話が出来て楽しかったです」
「俺もすごく楽しかったよ」
そう言った後、なぜか堂島さんは窓の外を見たまま黙ってしまった。
私も何を話して良いか分からずただ黙っていた。
時折、堂島さんの顔を横目で見るのだが1秒と見てられないので表情までは分からない。
私の家が近づいてきた頃、堂島さんが口を開いた。
「ねえ、麻美ちゃん」
なんか雰囲気がさっきまでと違う。
「なんですか?」
今まで外を見ていた堂島さんが私を見た。
何を言われるんだろう?
不安と期待が交じり合ってきた。
「いろいろありがとね」
そう言ってまた外を向く堂島さん。
どことなく恥ずかしそうな横顔をしている。
『ありがとう』と言われたけれど、特別な事をしているわけじゃなかったので何が何だかさっぱりだった。
けれども何も返さないのは変なので
「こちらこそ」
と更に意味不明な返事をする私。
この「ありがとね」の意味を知るのはもうちょっと先の事だった。