無償の想い
「大丈夫です。ここからすぐなんで」

「本当に?」

「はい。今日はご馳走様でした」

「うん、また今度ね。気をつけて。おやすみ」

優しい笑顔に良いそうになりながらも家の方へ歩き出す私。

タクシーから降りたまま私の姿が見えなくなるぐらいまで見送ってくれた。

家に着くと携帯が鳴った。

「こんな時間に誰だろう?」と思いながら携帯を開くとそこには「堂島 充」という名前が。

突然の電話に驚きながらも受話ボタンを押す。

「も、もしもし?」

「あ、麻美ちゃん?無事に家まで着いた?」

「はい!無事に到着しました!」

「そう、良かった。何かあったら嫌だもんね」

「わざわざありがとうございます」

「ううん。男として当然だよ。じゃ、おやすみなさい。またね」

ここで「メールしても平気ですか?」って聞かなきゃ!と心の中で叫ぶけど声が出てこない。

ここぞという時に勇気が欲しい。



「あ、そうだ麻美ちゃん?暇な時とかメールしてもいいかな?」



・・・・・・!!!!!


「ぜ、ぜんぜん大丈夫です!わ、私も堂島さんにメールしても平気ですか?」
< 67 / 122 >

この作品をシェア

pagetop