無償の想い
「もちろん!好きな時にメールしてね。じゃ、おやすみ」

「おやすみなさい」

そう言って電話を切る。

一気に体中の力が抜けた。


まさか堂島さんの方から「メールしていいかな?」なんて聞かれると思っても見なかった。

どうしよう。なんてメールして良いかわかんない。

好きな人のメルアドを知ってるだけで幸せだったのに。

いざこういう事になると緊張してメールを送れないよ。

高校生の頃ならまだしも、もう私も大人だよ?

メールごときではしゃいじゃう歳じゃないのに。


でも・・


でも、この気持ち。。。

いつの間にかこんなに好きになってる。

心に壁を作ったはずなのに、堂島さんの存在は私の予想の上を行く。

このままじゃこの気持ちを抑えきれないかも・・



そう思うとちょっと涙が出てきた。

携帯を握り締めたまましばらくその場を動けなかった。

今日あった出来事が夢のように思える。

彼の仕草がまぶたに焼き付いている。

何気ない一言も、時折見せる切なそうな笑顔も。

全てが私の心に刻まれている。

その時、握ったままの携帯が鳴り出した。
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