無償の想い
ふと空を見上げると綺麗な秋晴れ。

あの夏の日からもう2ヶ月が過ぎた。

突然の出会いから昨日の夜まで抑えていた気持ち。

これが「恋」なのか「憧れ」なのかハッキリしないまま過ごしてきたけど、今なら自分の気持ちがはっきりと分かる。

私は堂島さんに恋してる。

でも、それは成就することの無い恋。

自分で認めるまでここまで時間が掛かってしまったけど。

それは私が現実から逃げてただけだと気が付いた。

一晩考えて、やっと自分の心に答えを出せた。


もう逃げない。

自分の気持ちに嘘はつけない。

彼の事を想う気持ちはあるけれど、それは私の心の中だけで想い続ける。

追いかけはしない。

これでいい。

別に悲劇のヒロインを演じたいわけじゃない。

こんな恋のカタチがあったっていいって思った。

好きな人の為にできる事を一生懸命頑張る。

それで喜んでくれたら私も嬉しい。

もちろん、彼の周りの人も大切にしたい。

彼が幸せになる事が私の喜びにもなる。

あの二人の間に割って入っていくような事はしない。

もう迷う事は無くなった。


この先、どんな事があっても大丈夫。

そう心に言い聞かせ顔を上げて会社へ向かう。

社会人は大変だ。
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