無償の想い
なんでも数ヶ月温めて来た大切なプレゼンらしく武も気合が入っている様子。

「麻美!明日はよろしく頼むぞ。ただ立ってるだけじゃダメだからな!」

ただ立ってるだけかと思っていた私にはショックな言葉。

「おいおい!まさか立ってるだけで終わると思ってたのか?」

「別に。そういう訳じゃないけど」

「その顔は図星だろ。そういえば俺と一緒にプレゼンするのは初めてだったよな?」

「うん。私は社内でもインドア派なんで。あんまりそういうのはやった事ない」

「ま、大船に乗ったつもりで大丈夫だから。心配すんな」

今にも沈みそうな船だとは思ったが、ここはあえて余計な事は言わず

「じゃあお任せしますよ!山下先輩!」

と答えてあげた。

なんて先輩思いの部下なんだろう。

「じゃあ明日は直接相手の会社へ向かうからどこかで待ち合わせしようか」

「そうだね。じゃ、駅で待ち合わせね」

「分かった。九時に集合な!」

「は〜い。明日ね」

と言って打ち合わせは終わった。


翌日、早めに家を出て待ち合わせの場所へ向かう。

駅に着くと武は既に待っていた。
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