無償の想い
「おはよう!早いね!まだ来てないかと思った」

「今日は遊びじゃねーんだぞ。時間前に余裕を持って到着するのは当たり前だ」

今日の武は完全仕事モードだ。

普段はかけていない眼鏡がそう見せているのだろうか。

中身を知らなければエリートサラリーマンに見えてしまう。

「武!なんで今日は眼鏡なんてしてるの?いつもはしてないのに」

「ああ、この眼鏡は伊達眼鏡だ。度は入ってないよ」

「じゃあなんでしてきたの?」

「お洒落」

「お洒落?馬鹿じゃないの?仕事でしょ?」

「冗談だよ。何となく大事な仕事の時はこの眼鏡をするのが俺のジンクスなんだよ。成功の願掛けみたいな物かな?」

「何か思い入れでもあるの?」

「この眼鏡は大学時代から愛用している物でね。この会社を受けた時もかけてたし、初めての仕事の時もかけてた」

「それで?」

「直接関係してるわけじゃないと思うけど不思議とこの眼鏡があると上手くいくんだ。絶対に失敗したくないときはコイツの出番なんだよ」

「へえ。じゃあ幸運の眼鏡なのかもしれないね」

「ああ。今日はお前にカッコ悪いところとか見せたくないしな」
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