無償の想い
「今年のクリスマスは何か予定入ってるのか?って聞いたの!恥ずかしいから2回も言わせるなよな!」

びっくりして言葉が出なかった。

恋愛感情とかそういう以前の問題で武の口からそんな言葉が出てくるなんて思ってもみなかったからだ。

「べ、別に今のところ予定は無いけど・・・」

「そ、そうか。わかった」

「ちょっと!なによそれ?何の確認なのよ?」

「確認っていうか・・別になんでもいいじゃねえかよ。それよりクリスマスの予定も無いなんて寂しいなあ」

「武に言われたくないわよ!その気になればあっという間に予定なんて埋まっちゃうんだから」

もちろんあっという間に埋まるわけなんてない。

それどころかその先のお正月まで私の予定はすっからかんだ。

「そんな事言ってて武はクリスマスの予定はあるの?」

「ん?当たり前だろーお前と一緒にするなって」

そういって高笑いする武。

「あっそ。それは良かったですねえ。楽しいクリスマスで」

内心、私だけ一人寂しいクリスマスかとちょっと凹んだ。

ここはしっかり確認しておこう。

「でも武に彼女が居たなんて全然気が付かなかったよ。どんな人?」

「え?彼女居ないよ?」

「は?クリスマスに予定といったら恋人と過ごすってのが普通じゃないの?」

「お前は恋愛の事しか頭に無いのか?全く最近の若い奴は・・・」

ブツブツ言いながら歩き出す武。
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