無償の想い
「直接って・・・それは無理だろー・・それにお前は充の連絡先とか知ってるのか?」

ヤバイ!

調子に乗ってへんな事言っちゃった。

武は私が堂島さんの連絡先とか知らない事になってるんだった。

でも武がそうやって言ってくるって事は堂島さんも誰にも言ってないって事だよね。

なんか二人だけの秘密って感じがたまらなく嬉しくなっちゃう。

「なんだよ?ニヤニヤしちゃって。変な奴だなあ」

「別にニヤニヤなんてしてないわよ。それに直接聞くって言ったって私は理子さんに聞くつもりだったし」

「そっか。麻美は理子の連絡先は知ってるんだったな」

「うん。たまにご飯とか行ってるんだよ。知らなかった?」

「そこまでお前らの事知ってるわけねえだろ。でも仲良さそうで良かった」

「理子さんてすっごく優しくしてくれるんだよ!」

「気遣いがすごく出来る子だよな。女性らしいって言葉がよく似合う。それに比べてどこかの誰かさんは・・」

そう言って私の方を見る武。

どう見ても馬鹿にしているようにしか見えない。

でもここはあえて相手にしない。

私だってワンパターンな女じゃないのだ。

武を無視しながらアクセサリー売り場へと歩く。

「おーい無視かよー?冷たいなあ」

これも完全無視。

その時、何気にショーケースに入ったネックレスが目に留まった。

小さな十字架のネックレス。

チェーンも細くてすごく可愛いデザインをしていた。

じーっと眺めていると武が追いついてきた。

「麻美ー置いていかないでくれよー」
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