無償の想い
「ねえねえ!これ見て!可愛くない?」

そう言って今まで見ていたネックレスを指差す私。

「ん?どれ?おーこれはいいデザインだな」

「そんな事言ったって武にデザインの事なんて分からないくせに」

「いやいや、俺も若い頃はシルバーアクセとかに凝ってた時期があったんだよ」

「まあ武の評価は参考程度に捉えておくね。でもこれは彼氏が彼女に贈るような物だよねー。世の中のクリスマス商戦は始まってるんだー」

「もう11月も半ば過ぎだしな。ボーナス時期も控えてるし、こういう大手デパートもこれからが忙しい時期だな」

そんな武の話を聞き流しながらアクセサリーショップの中をじっくり見る。

久々にこういうお店に入ったけど結構可愛いのがたくさんある事に驚いた。

いつもは雑貨屋さんとかでピアスとか買ったりしている私。

こういうお店は「高そう」っていうイメージがあったから入り辛かったけど、そんなに高くない物も揃ってるって初めて知った。


「気に入ったのがあったらプレゼントしようか?」

武が冗談交じりに言う。

「じゃあこのお店で一番高い物でも貰っちゃおうかな?」

私も負けずに言って見る。

とりあえずこのお店で一番高い商品を探す。

探し始めて2秒後に発見。

このお店で一番高い商品はダイヤのティアラ。

お値段は・・・とりあえず「0」がいっぱい並んでた。

「じゃ、武これよろしくね!」

「お前は俺を殺す気か?」

「あはは!流石の武さんもこれにはお手上げだよね」

「こういうのはセレブな方達に任せなさい。庶民はこっち」

そう言って反対側のショーケースを指差した。
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