無償の想い
そこにはクリスマスプレゼント用に色んなアクセが並んでいる。

お値段も手ごろでペアの物も結構揃っていた。

「こっちだったら俺の財布でも問題無しだな」

別に買ってもらいたいわけじゃないけどここは言わせておこう。

やはりクリスマスという事でリングがメインで並べてある。

殆どがペアの物だけど私には不必要だし・・・


こんなアクセを堂島さんと付けられたらな・・・

なんて妄想するのが私の贅沢。

目を瞑っていろいろ想像しちゃうと笑っちゃいそうになる。

キモい女に見られちゃっても平気。

いやいや平気じゃないって。


「ピリリリリリ ピリリリリリ」

携帯の音だ。

「私じゃないよ?武じゃない?」

「あ本当だ。誰だー?って会社からだ・・・嫌な予感」

「早く出た方がいいんじゃない?」

「お、おう。ちょっと電話してくるな」

そう言って店内の静かなところへ移動する武。

私はその場でショーケースに並んだアクセ達を眺めながら一人妄想の世界へ。


数分後、武が戻ってきた。

「ちょっと俺会社に戻るわ。麻美はこのまま帰っちゃっても平気だけどどうする?」

時計を見ると時間は3時前。

今から会社へ戻って3時半か・・・

「私、このまま帰っても平気なの?」

「ああ。今日は直帰の予定だし。たまには早く帰るのもいいもんだぞ。じゃあな!気をつけて帰れよ!」

そう言って武は行ってしまった。

一人残された私。
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