無償の想い

「またこういう所で大きな声出すなっていつも言ってるだろ！何があったんだ？」

女の子に負けないぐらいの大きい声で話す男の人。

『だって・・・この人が突然ぶつかって来たから・・』

怖くて顔を上げることが出来ない私。

「そのぐらいで大きな声出してたのか？この人だって悪気があった訳じゃないだろ？それなのにお前は・・・って・・あれ？」

『どうしたのよ？何？』

「麻美ちゃん？」


！？


なんで私の名前を知っているのだろう。

こんなところに知り合いは居ないはず。

そーっと顔を上げるとそこにはなんと堂島さんが立っていた。

一瞬、何が何だか分からなかった。

事態が飲み込めずにオロオロする私。


『何？この人と知り合いなの？』

女子高生は腕組しながら堂島さんに言い寄る。

「知ってるも何も、超知ってる人だよ」

『何？私知らないよ！誰？』

さらにオロオロしてしまう。

こんなシチュエーションは初めてだ。

この子とぶつかってからまだ数分しか経っていないのになんでこんな事になるの？

っていうかなんでここに堂島さんが？

それにこの女の子は誰だろう？

私が「誰？」って聞きたいぐらい。

堂島さんとやけに馴れ馴れしいし・・・


頭の中で「？」マークがぐるぐるしてる。

状況がまったく飲み込めない私・・・