【キセコン】初秋の海物語

長野県民が海と言えば新潟だ。
朝方の日本海は暗く今日は少し肌寒い。

「五十嵐〜」
「大丈夫?」
神山さんはヨロヨロと車から降りると、
「眠い〜」
そのまま車にもたれかかった。

「まだ日も昇ってないじゃん〜」
「明けてはいるから。そのうち山から昇ってくるよ」
日本アルプスも遥かな東の空は、黒影の縁が淡く朱になっている。


神山さんはしばらく友人を誘い回ったようなのだが捕まらず、俺のおじいさんに頼んで釣りに同行する形になった。
出発は深夜3:00。
別にお年寄りタイムではなくて、釣りは魚の食事時間に合わせるから必然的にそうなる。
さすがに、朝まずめ(日の出までの釣り)なんて事態は避けたものの、慣れない人には厳しいだろうと思うよ。


「車内で寝てなよ」
「ううん。行く」

強い子だからなぁ。気が。

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