【キセコン】初秋の海物語
神山さんの針にはオレンジ色した星形がぶら下がっていた。
「…コレ………ヒトデ?」
あまりの意外さに末尾が疑問形になってしまう。
「私に聞かないで!!」
神山さんが半ベソで叫ぶ。
しばらくアタリが無いようだったので、餌を替えようと引き上げたら謎の生物のおまけつき。
「うわ。がっちり食べてる。
釣れるんだね。ヒトデって」
口の部分に針があるものの、ヒトデ自体が予想外に固く、針は比較的楽にはずせた。
何か脚?触手?がウゴウゴしてこそばゆいけど。
神山さんに振り向きつつ、
「食べれなさそうだし、リリースする?」
声をかけたが、居ない。
あれ?うわ速い。
すでに岩の上だ。
「リリースしちゃうよー」
首を縦に振るのが見えた。
さて、遠くに投げてやった方が良さそうだけど…
…俺の力で飛ぶかなぁ。
とりあえず横持ちで身体を捻って…。あ。フリスビーの要領か。
フライングゴルフの授業を思い出しながら投げてみる。
スナップを利かせ過ぎたのか、ヒトデは空飛ぶ円盤よろしく遠くゆっくり飛んで着水した。
「あはは。ヒトデってきっと手裏剣になるね」
笑い声に振り返ると神山さんが居た。
「帰ってくるのも速いね」
「え?」
「…ナンデモナイデス」