[完] スマフォン忍者 HISANO
「あっ、透明のカバー探すの忘れた…。」

「ちょっと、寿乃ちゃん?」

 瞳美の制止を振り切って、寿乃はまだ作業を続ける。

 瞳美はどうすればいいのか分からない顔。啓仁はただ呆れるしかない。

「瞳美、このまま寿乃ちゃんを放置したら。」
「全く、瞳美じゃなくてお姉ちゃんっと呼びなさい!」


 
――出た、いつもの決まり文句。――

 寿乃は心の中で笑いながら、作業を続ける。

 瞳美が後ろから

「ご飯食べよう。」

 っと言っても、寿乃はやめるどころか、後ろに振り返らない。いらいらする瞳美の姿を、悠仁は呆れながら見てる。


 五分後。

 瞳美はとうとうしびれを切らし、啓仁と共に部屋を出て行った。

 寿乃は二人が出て行ったことに気付いてない。

「透明のカバー、透明のカバー。」

 こんな調子がさらに一時間ぐらい続いた。


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