[完] スマフォン忍者 HISANO
 あれから、教室に変化はなかった。

 だが、事件が急展開した。

 それは、もう眠くて眠くて仕方ない五時間目のことだった。

 臭い匂いがする生物実験室で、事態は動いた。


――今日はダメかな?――

 そう諦めかけつつも、やっぱり諦めきれなくてスマートフォンを見ると…


――あれ?なぜ小机が?――

 小机風花(コヅクエ フウカ)。
 王路の子分で、王路に一番こき使われている存在だと寿乃は思い出す。

 それにしても、授業中で移動教室のはずなのに、なぜ教室にいるのか?
 疑問を解決するために、寿乃は風花がいるところを拡大する。

 そしたら――

 風花がスクールバッグを開けている。
 でも、それは風花のではなさそう。寿乃ではないし、王路のではないし。では、誰のスクールバッグか。
 そんな疑問もあるが、なぜ風花の物ではないスクールバッグを開けているのか。

 思わず、寿乃は目を疑う。

 あっ!
 お財布の中のお金全部盗って、スカートのポケットに入れた。

 寿乃の頭に“窃盗”の二文字が浮かんだ。


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