[完] スマフォン忍者 HISANO
 寿乃以外のクラスの人全員、耳をふさぎたくなるくらい大きな声でしゃべりながら、教室を出ていく。

 特に、王路たちのグループはしゃべり声がうるさくて、歩くペースが遅い。

「今日の実験マジ臭い。」
「本当ね。でも、もっと臭いやつだったらいるじゃん。」

「そうだった、そうだった。」

 ゲラゲラゲラゲラ。

 本当にどうしようもない。

 トロトロトロトロ。これじゃあ、帰りの会に遅刻するじゃんって突っ込みたいほど。

 
 寿乃はあまりにも王路たちが遅いから、先生に質問しているふりをして少し時間を稼ぐ。

 そして、終わった時には王路たちは教室から五メートル離れたところに居た。

 
――う~~ん。練習より距離は短いな。
   よし。――

 寿乃は、わざと持っていたものを落とした。これまた、時間稼ぎのため。

 近くにいる王路たちは気づいてない様子。

 気付いてないから安心する。気付かれたら、せっかくの時間稼ぎ策が無駄になってしまうから。

 ゆっくり拾って時間稼ぎ。

 
< 34 / 258 >

この作品をシェア

pagetop