[完] スマフォン忍者 HISANO
 それをなんとか耐えて耐えて、結局王路たちがトイレから出たのは、六時半。

 かれこれ二時間以上。

 途中アクシデントがあったが、それでも何とか成功。

 でも、心の中は晴れない。

 むしろ、つらくなった。


 寿乃は大きく息を吐いてから、壁隠れを解除した。

 普通ならさっさと外に出るところだが、なんだか出る気になれない。

 くららの目が頭から離れない。

 うっすら汗かいていることも気が付かないくらい、頭の中から離れない。

 くららと同じように、寿乃も傷ついたせいなのか。

 結局、最終下校時刻の十分前を知らせる鐘が鳴って、慌ててトイレから出た。

 自習室から門まで、走ろうと思っても、足が重くて走れなかった。




 
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