ROSE~AI (ノンフィクション
ピィーーーッ


ヤカンが音をたてる。


カップラーメンにお湯を注いで、そのままずるずるとキッチンにしゃがみ込んだ。



昔、
そういえば一度だけ、父がアタシにカップラーメンを作ってくれた事があった。

アタシが小学校の高学年になった頃だったか。


アタシはとても嬉しかった。


どんな事でも、父がアタシに何かしてくれる事などなかったから。


ワクワクしながらその時を待って


食べていいですか?


そう言ったアタシに


いいよ、ほら。


父は・・・・

それを手に取ると、アタシの頭上から


ぶちかけた。


アタシが叫んだ声で、母が駆け寄ってくる。


熱いのか痛いのか悲しいのか、わからないままでアタシは必死に目を擦った。


父のその顔を見届ける為に。


スープが目にしみて、痛くてそれでも目を開く。


父は微かに笑って見えた



殺してやりたい


本気でそう思った。





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