ROSE~AI (ノンフィクション
「待ってよ!」

「・・・・・」


駅の改札口は人で溢れかえっていて、アタシの叫び声に、人々が怪訝な視線を向けた。


「美咲、足はやいよ」

ハァハァと息がきれる。
ようやく立ち止まった美咲を捕まえると、そのまま手を引き強引に駅ビルの中へと足を進めた。


「とりあえず、マック行こ。おごるから。」






「はい。」

二人がけの席に腰を下ろして、美咲の分のトレーを差し出す。


「・・・ありがと」

美咲は遠慮がちに手をのばすと、ストローをくわえた。


「やっと喋ったね?」

「・・・・・」

アタシの問い掛けに、すぐにまた俯いてしまった

「何があるの?」

こんな動揺してるんだ。

何もないなんて言わせない。



少しの沈黙の後

観念した様にゆっくりと顔を上げた美咲は、泣きだしそうな顔でポツリポツリと喋り出した。


「雅も祐樹も、皆、梅林にやられたんだよ・・一昨日は祐樹、昨日は雅・・・・今日もきっと」


「どうゆう・・こと?!」


意味がわかんない。

まだ約束の日まで時間があるはず・・・


「私だってわかんないよ!何でうちらが目の敵みたくされなきゃいけないの?!何も・・してないのに・・・・」


堪え切れずに泣き出した美咲に、備えてあった紙ナフキンを差し出した。


「うっ・・・ふぇっ」

「・・・・・・」


本当にその通りだ。

アタシ達は何も悪い事だって、気に障る事だってしちゃいない。


あの白井に、理由を求める事自体意味がない事なのかもしれないけど。


「何で、黙ってたの?」


優しくそっと尋ねたアタシを、上目使いで見上げる。


「高貴が・・言うなって・・・・」


「高貴がそう言ったの?!」

一瞬で口調がきつくなる


「でも、でも皆もその方がいいって・・・」

慌てて否定する美咲に、アタシはため息をついた

「でもこのままじゃ皆順番にヤラレルだけでしょ?」

「・・・・・」



頭を抱えたまま、視線だけ美咲に向ける。


「・・・・白井の連絡先、知ってる?」



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