ROSE~AI (ノンフィクション

マンションの手前でおろしてもらう。


家は知られたくなかった



「あ・・・!」

思い出した様に携帯を開いてみても、電源は落とされたまま。


真っ暗だ。

何だか悲しくなる。


「どうしたの?」

首を傾げた梅沢に、美咲の携帯をそっと差し出す。

「これ、倉木の誰かに渡して。美咲のって言えばわかるから。」


「・・・わかった」

切ない表情で、梅沢はそれを受け取った。


何となく状況は把握してる様だ。


「じゃあね・・・」


背を向けて歩き出したアタシに、梅沢が申し訳なさそうに叫んだ。


「あの!」


「・・・なに?」

アタシはため息をつき振り返る。

悪いけど馴れ合う気はサラサラない。


「明日、12時にここに迎えに来ます。」

・・・・・・。


そうゆう事ね。


「わかった。」



アタシに自由はないって事か・・・・


バババババ・・・

走り去るバイクの音を背中で聞きながら


少し歩いて、ようやくマンションが見えて来た時

門の前。

小さく丸まった人影が目にとまった。


「・・・・・・」

近づくにつれて、
だんだんハッキリする。


「愛美・・・・」

影がのびる。

その人は立ち上がり、アタシの名を呼んだ。




< 164 / 366 >

この作品をシェア

pagetop