ROSE~AI (ノンフィクション
「呼び出してごめんね!ラブラブ中だった?」


近所に公園があるらしい

そこへ向かう途中、隣を歩くリアがそう切り出した。

「は?やめてよ・・・」

つい口調がキツクなる。


「やっぱり?」


「は?」

やっぱりって・・じゃあ何で聞くんだろ。


振り向くとリアが、苦笑いをしながら俯いていた

「聞いたさー。愛美ちゃんの友達に、白井君が酷い事したんだって。」


「・・・・・」

あの光景を思い出す。

酷いなんてもんじゃなかった・・・・


「思い出させちゃってごめんね?」


「・・・・・」

逆を言えば、思い出させてくれて正解かもしれない。

さっきの事もあるし、アタシはもっと警戒しなきゃいけないんだから。


そんな事を話してるうちに、小さな公園にたどり着いた。


二つ並んだブランコに、お互い腰をかける。

リアがゆらゆらと体を動かしながら、アタシを見た。


「何でここに来たの?」


「そうゆう条件だから」

即答したアタシに、リアが細く笑う。


「仲間のためとか?」

「・・・・そう。」

それ以外なにもない。


「そっかぁー・・・」

「・・・・・・」

少しの沈黙の後、リアが遠くの景色を眺めながら話し出す。


「愛美ちゃんが座ってるそのブランコねぇ、白井君が初めて泣いた場所なんだよっ」

「・・・・・」

思わず何故だか立ち上がってしまう。


そんなアタシを見て、リアが小さくふきだす。

「ふふっ、そんなに嫌いなんだ?」

「嫌いなんてもんじゃないよ。」


顔をしかめたアタシから、ふと視線を外すとまた遠くの空を仰ぐ。


「次はいつ泣くのかな・・・・」


独り言みたいに小さな声

「・・・・・」


「嫌いにならないであげて・・・・」


リアがそんなに悲しそうな顔をする理由を、

その時アタシは知るよちもなく。


ただ、受け流す事しかしなかった。


それでよかったのか・・・

ちゃんと聞くべきだったたのか・・・・


今になってもまだ。


アタシにはわからない。



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