ROSE~AI (ノンフィクション


「・・・・・・」

呆然とするアタシをよそに、藤本がいい加減な返事を返した。


「はいはい。わかってますよ。さっさと連れてけば?」


チラッと藤本がアタシに視線を向ける。


「愛美、帰ろう?」

「・・・・・・」


そう言って優しく笑ったその人は、そっと手を差し延べる。


「愛美・・・?」

「那智・・・・」


間違いなく、その人は那智で。


「帰ろう?ここは危ない。」

「・・・・・・」


アタシは躊躇う必要などないはずなのに、後づさりする。


「愛美っ!!」


そしてそのまま

階段を駆け上がった。


振り返らずに真っ直ぐ。




< 227 / 366 >

この作品をシェア

pagetop