ROSE~AI (ノンフィクション
「・・・・・・」
呆然とするアタシをよそに、藤本がいい加減な返事を返した。
「はいはい。わかってますよ。さっさと連れてけば?」
チラッと藤本がアタシに視線を向ける。
「愛美、帰ろう?」
「・・・・・・」
そう言って優しく笑ったその人は、そっと手を差し延べる。
「愛美・・・?」
「那智・・・・」
間違いなく、その人は那智で。
「帰ろう?ここは危ない。」
「・・・・・・」
アタシは躊躇う必要などないはずなのに、後づさりする。
「愛美っ!!」
そしてそのまま
階段を駆け上がった。
振り返らずに真っ直ぐ。