ROSE~AI (ノンフィクション
第六章 散って涙

「寒いから、中行こう」


体を翻した那智の手を、そっと掴んだ。


「仲直りしたの?」

「見ての通り。」

「何で喧嘩したんだ?」

「内緒。」


質問攻めのアタシに、呆れた様に那智が振り向く


それでもアタシは懲りずに尋ねた。




「いつから聞いてた?」

高貴の携帯、あの時繋がってたのは間違いなく那智で・・・・


見上げたアタシに、那智は細く笑った。


「最初から最後まで。」



そう言って玄関のドアを開き、アタシを中へと導く。


「・・・・・」

「・・・・・」

無言のまま、アタシは那智の後を追い掛けて、竜の部屋に向かった。



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