ROSE~AI (ノンフィクション


「・・・・・・・」

アタシは母の声でハッとする。


立ち上がり、落ちているリモコンを拾い上げると急いでスイッチを切った。



「・・・どうしたの?」


「・・・・何も。」


背中越しに尋ねた母に、そう答えた。


本当に何も。

何も考えてないし何も思ってない。


だって気付いたの。


悩む事など何もない

考える事も・・・・

ただ、残るのは悲しみと寂しさと後悔だけ。


後はそれから

どうやって立ち直ったらいいのかを

悲しくても悲しくても


手探りでも見つけなきゃいけないだけ。




「あのね・・・・」


母は言いにくそうにしながら、ソファーに腰を下ろして俯いた。


「・・・・・?」

アタシは母を見下ろして、話し出すのをひたすら待った。


「・・・・・」

「・・・・・」


長い沈黙。
なかなか口を開かない母


呆れた様に小さく溜息をつき、歩き出した時


背中越し、小さく耳に入った声。


「プロポーズされたの」


「・・・・・」

プロポーズ・・・?



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