ROSE~AI (ノンフィクション


「寒いね。」

そっと呟いてみた。

雨はいつの間に、アタシと那智の体をすっかり冷やしていたから。



それから・・・



「じゃあさ・・・」

那智が口を開いて・・・・



「・・・・・。」


ふいにギューッと抱きしめられる。


「寒いならさ。温めあったらいいんじゃない?」


急に優しい声でそんな事を言うから、少し驚きながらも小さく口角を持ち上げた。




「・・そだねぇ」


表情のないまま、那智の胸にうまったアタシを、那智は切なそうに眺めてたっけ。



ねぇ那智。


寒いのはさぁ・・・


体だけじゃないみたい。


何だか泣きたい気分なのに、涙一つ流れてくれないの。



どうしたらいいのかなぁ?








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