王子様と秘密ごと
「薬飲んだっ?保健室行くっ?」
若干パニックになっている比奈に”薬飲んだから大丈夫”といって席に着いた。
そうたしかに少しはおなかが痛いけど体調不良は生理が原因じゃない。
ヤツ、なのだ。ヤツ。
クラスの中心ではにかんでいるヤツ…!
白いシャツが似合う。黒い髪が映える。ああいつもはあのひとすごいなあと思うくらいだったのに。
今は完全に憎しみに似た感情が募ってきている。なんであんなヤツにたかるのだろう女の子。
正体を知らないからそんな風に近づけるんだ。私だったらムリ…無理だよ。
なんて思っていると
「初心。おはよ」
クラスの中心から私を呼んだ。王様が。
波岡くんを囲む全ての人たちが私を見た。それはもちろん私の席の近くにいた亜美ちゃんと比奈も。
そして彼女と登校してきた後らしい歩くんも。
「…え?初心って、松岡さんだよね」
「え何?松岡さんと天音どんな関係?」
「ちょっと天音どういうこと?」
「おい天音ー俺何も聞いてないけどっ!」
「なんだよ。お前ー!水臭いな。っていうかお前あーいう系タイプ?」
ガヤガヤと騒ぎ始める教室内。
ジトリと背中がした。ゾワッという感覚に鮮明に昨日のことを思いだす。