王子様と秘密ごと
「は?お前何言ってんだよ」
歩くんが言う。
「何?お前そんな口叩けるんだ?」
嘲笑うように言う波岡くんが怖い。歩くんは小さくしたうちをした。
「勝手にしろよ…」
居場所がなくなったのだろう。
歩くんは立ち上がって向こうへ消えていく。ドアの向こうへ。
私たちは反論できる立場なんかじゃない。
歩くんと彼女が別れるまで…私は波岡くんの言うことを聞かなければならない。
そう思うとゾッとするけどばらされるよりはましだと思った。
だってもしばれたら、あの写真を流されたら。
私はどんな顔して彼女を見たらいいの。どんな顔して学校に着たら言いの。
後ろ指差されて…なんて自分勝手だけど絶対に嫌だ。
つらい、だってこんなにつらい。
遊ばれた。
大好きな人にからかわれた。
本気じゃなかったということが分かるのは
もうここに歩くんがいないこと。
「歩の浮気相手になれてるんなら、俺でもなれるだろ?」
「え、…いや、あのあれは不可…「決定」」
不可抗力で…!なんて言葉通用しない。
波岡くんの目は楽しそうでそれでいて真面目で。