本当の僕を愛して?


『…迪…流…??』


顔を上げると
九条が顔を覗きこんでいた。


『どうしたの…??』



「あぁ…目にゴミが入って…」


こんなカッコ悪い所
見られるなんて…




九条が頬に触れる。



「…九…条…??」




沈黙が続く。






最初に口をひらいたのは
九条だった。


『今、びっくりしたの…』


「…??」


九条は少し涙目になると
下を向いた。


『南波埜択がここに居るみたいで…』




…!?





『小さい時、埜択が泣くのを見られた時もね、同じ事言ったの…だから…』






九条は見てくれたんだ。


ちゃんと…
僕のことも…




「九条…」


『もぅ…私までもらい泣きだわ…埜択のマネまでして…ゆずるって呼んでって…ば』



僕は九条を抱き締めた。



これが恋なのかな…

切なくなったり、
忘れられなくなったり、
嫉妬したり…

そして今…
とてつもなく愛おしい…


『ちょ…迪…』


「少しだけ…
このままでいさせてくれ…」



九条は手を後ろに回してくれた。


でも、ごめんね…九条…


僕は兄さんじゃないんだ…


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