本当の僕を愛して?
「ねぇ、迪流!
友達から映画のチケット貰ったんだけど…今日空いてる…??」
迪流は九条の頭をぽんとたたくと口をひらく。
『わりぃ…今日は埜択と図書館でテスト勉強するから無理だ。』
九条は下を向くと
「 そ…そうなんだ…」
と言って黙りこんだ。
少し後ろを歩いていたからか、九条の肩が下がっていて、迪流の前では笑っていたが、何処か寂しそうだった。
埜択は後ろで口を開いた。
「あ、兄さん。今日僕、友達とゲーセン行くから。」
親しい友達なんかいない。
ゲーセンなんてめったにいかない。
僕は兄さんに初めて嘘をついた。
『テスト勉強は??』
首をかしげる迪流。
「…ごめん。今日は九条さんと行ってきなよ。僕も遊んでくるわけだし…」
埜択はそう言うと迪流は頷く。
『埜択が言うなら…。じゃぁまた今度…。九条、映画何時からだ??』
九条の顔が明るくなる。
「ほ…本当!?いいの!?」
九条は嬉しそうに映画の話をする。
兄さん、ごめんなさい…
僕は嘘をつきました…
でも…九条がいいなら…
かまわない…