天才ハッカーと助手
煙草
カチカチ…
煙臭い部屋で私と恭は動いている。
「なぁ、火つけて」
「うん」
マルボロ。
タール8。
少し強めの煙草を吸う恭は
私より2つ上なのに
もっと大人びてみえる。
恭とは同じ大学を通っている。
後輩の私からみても
恭はそこそこもてていた。
普段、無口で冷淡な恭だけど
裏では天才ハッカーとして名をもつ。
その助手をするのが私、名倉まい。
「ランチタイム、たまたま前に座ってたのが
お前だったから」
という理由で恭は私を助手にした。
私だって迷ったけど、
男の先輩に声をかけられて
断る理由なんてなかった。
「そろそろ時間じゃない?」
「あ、うん」
恭はめんどくさそうに返事をすると、
まだ吸い始めであろう煙草の火を消した。