天才ハッカーと助手
黒客
来た道を戻っているのに
なぜか長く感じてしまうのは
『じゃあさ、被害者になってくんない?』
尋さんの言った言葉が
頭の中で落ち着きを見せない。
「ねぇ、私が被害者になっても大丈夫なの?」
「当たり前だろ。
相手が俺に勝てるわけないじゃん」
どうしてこんなに余裕なんだろう。
一人焦っている自分がおかしく思える。
「そこまで難しいことじゃないから」
励ましの言葉なのか
けなしの言葉なのか
今の私には判断できそうになかった。